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この事業は、海水が汚染されヘドロ等が堆積した海域において、汚泥を除去し、さらに、その上を良質な土砂で覆うものである(図−4参照)。
これにより、底質からの栄養塩等の溶出を抑制し、水質の浄化、赤潮の抑制、生物相の回復等を図るとともに、海浜整備による親水空間の形成を図るなど良好な海域環境を創造していくものである。これまでに、我が国の閉鎖性の海域に位置する12港2海域において実施されている(図−5参照)。

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fig−4 Marine Environment Creation Work(image)

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fig−5 Postion of Marine Environment Creation Work
また、海面の埋め立て等により失われた干潟を回復するための干潟造成も行っている。干潟は、水鳥等の生物の貴重な生息場所であるとともに、優れた海水浄化機能を有していることから、干潟の造成は、エコポートの実現においてきわめて有効な手段の一つである。
すでに、広島港等において、港湾開発の代償として干潟の造成がなされており、飛来鳥類の回復などその有用性が証明されている。
5−3. エコポートモデル事業の実施
エコポート実現に向けた取り組みは、各地で行われているが、特に、その実現を促進する観点から、全国の模範となる整備事例を早期に形成するため、平成6年度にエコポートモデル事業制度を創設した。
この制度は、運輸省港湾局長がモデル港(地区)の指定及びモデル事業の認定を行った上で、環境の保全や創造のための施設の総合的な整備を重点的、先行的に行う事業である。モデル港(地区)の指定は、当該地区の立地条件、環境の現況等から判断して、優先的に環境の保全及び創造を図る必要性が大きいこと、モデル事業を実施することによる効果が大きく、先進事例として全国の模範となることが見込まれるところに対し行われるものである。
モデル事業は、事業着手後慨ね5年から10年以内に一定の成果を上げられるよう、海域環境創造事業(シーブルー事業)、緑地等施設整備事業、港湾公害防止対策事業、港湾改修事業、海岸環境整備事業など港湾における各種公共事業や単独事業を組み合わせ、重点的に実施していくものである。
平成8年6月末現在において、横浜港をはじめとする6港がエコポートモデル港に指定されている。
指定された6港のモデル事業の基本方針及び整備の方向の概要については、表−1のとおりである。
5−4. エコポート実現のための技術開発
エコポートの実現を効率的かつ確実に行うために、今後の技術開発に期待するところも大きい。
運輸省港湾局では、港湾における技術開発五箇年計画を平成8年4月に策定した。この中で、「エコポートの形成」を重点的な技術開発課題の一つとして位置づけ、技術開発の側面からも積極的に取り組むこととしている。
なお、エコポートの形成における具体的な技術課題として以下の5つをあげている。
?多様な生物が付着する港湾・海岸構造物の開発
?多様な生物が生息する干潟の保全・創出技術の開発
?生態系を考慮した富栄養化、貧酸素化の予測・評価技術
?海水交換技術・導水技術の実証
?礫間接触酸化法、エアレーションによる海水浄化技術の実証

 

 

 

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